2018年6月15日
エッセンシャルズ
業績報告指標のトランスフォーメーション
─Non-GAAP指標をどう使うか─
高原 宏
日本CFO協会主任研究委員
EY税理士法人 移転価格部 シニアアドバイザー
元武田薬品工業 コーポレートオフィサー経理部長
はじめに
2017年2月掲載のCFO FORUM 79号で、会計基準のトランスフォーメーションと題し、グローバル展開を目指す日系企業のIFRS導入の必要性について私見を述べた。その後の日系企業の動きを見ていたところ、2018年4月14日の日本経済新聞に、「国際会計基準200社に迫る」の見出しでトヨタやソニーなど日本を代表する企業もIFRSに切り替えを決めたと報道されている。
グローバルな欧米系企業との業績比較を使って投資判断を行う投資家にとって結構な傾向であるが、一方で副作用ともいわれる課題も起こっている。それは、Non-GAAP(以下NG)と総称される企業独自の会計ルールに基づく業績指標を用いる企業が増加しているという事実である。
NG指標とは、企業が自発的に定めた会計基準に規定されていない業績指標の総称だが、投資家の判断に有用との評価がある反面、他企業との比較が困難で、行き過ぎた活用はむしろ判断を誤らせるとの批判もある。したがって、IFRSでのIASB(国際会計基準審議会)と米国基準でのSEC(米国証券取引委員会)は、誤った情報が開示される可能性が潜在することを懸念してNGの有用性や透明性に取り組んでいる(注1)。
今回は、経理・財務責任者(以下CFO)の視点から、なぜNG指標を活用する企業が増えるのか、このテーマにどう取り組めばよいのかについて経験から私見を述べる。
2018年6月15日