2017年5月15日
TREASURY FORUM
グローバル化に対応した
為替管理の方向性
川上 真希
株式会社リコー
グローバルキャピタルマネジメントサポートセンター
シニアマネジメント
日本CFO協会主任研究委員
為替リスクの種類
為替レートは金利の変動に比べ短期的な変動が大きいため、そのリスク管理が難しい。ヘッジはあくまで、その変動要因を固定化することで将来の不確実性をコントロールしていくものであり、企業は為替リスクをヘッジするためにさまざまな手法を駆使しているものの、グローバル化に伴う多様化した外貨取引により、為替変動が業績に与える影響を完全に制御していくことはできない。
企業が直面する為替リスクは単一ではなく、①キャッシュフローリスク(現金の増減にかかるリスク)、②通貨換算リスク(企業会計上発生する評価損益リスク)、③純資産価値リスクに区分される。全ての観点でリスクマネジメントが必要であるが、本稿で全てを網羅して議論することはできないので、今回は①キャッシュフローリスクの管理に焦点を当てる。
グローバル為替管理の向かうべき方向性
グローバル展開に対応した為替リスクの軽減を図るには、対象国の規制やエクスポージャーの種類・金額の大きさ等を考慮に入れ、それぞれの企業の経営戦略に合致した為替戦略を選択していく必要がある。中でも為替取引集中化はグループリスクマネジメントとコスト最適化の観点から推進すべきだ。集中化を実現するために想定しうる手法の主なものとして、(Ⅰ)リインボイス、(Ⅱ)請求建値の現地通貨化、(Ⅲ) マルチラテラルネッティングがある。図1にそれぞれの概要とメリット・デメリットを記載した。
2017年5月15日