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CFOFORUM

2025年10月15日 

事例に学ぶデジタル活用の処方箋・二章
日立製作所 激動の20年代に企業価値向上をリードするCFOの役割
~CFO Executive Exchange 日立製作所加藤CFO講演サマリー~

中野 浩志

SAPジャパン株式会社
早稲田大学大学院非常勤講師
一般社団法人日本CFO協会主任研究委員

※各図をクリックいただくと、拡大された図をご覧いただけます。

 2025年9月に日立製作所CFO兼CRMO加藤知巳氏をゲストスピーカーに迎え、SAP SELECT─CFO Executive Exchangeを開催した。幅広い業種かつ業界を代表する企業21社のCFOが参加し、「AI時代のサステナブルな企業価値向上に向けたCFOの役割」をテーマに、事例講演およびパネルディスカッションを通して活発な意見交換が行われた。

 本稿では、ご参加いただいたCFOから大変高い評価と共感を得た日立製作所加藤CFOの講演および体験共有のサマリーをお伝えする。

加藤 知巳
株式会社 日立製作所
代表執行役 執行役専務
CFO兼CRMO

入社以来、多様な業種/地域/拠点(IT・エネルギー/米国・中国・日本/工場・販売会社・コーポレート)での財務を経験。2024年よりCFOとして経営計画における主要財務KPIの達成に向けた活動をリードしている。

日立経営改革の歩み

 日立製作所は115年前に創業し、現在はIT、プロダクトの制御技術であるOT、そしてプロダクトの3つを組み合わせた社会イノベーション事業をグローバルに推進している。

 創業以来、売上と利益が拡大傾向であったが、1990年代後半からは利益が低迷し、当期利益では時折赤字になる厳しい状況であった。そこにリーマンショックが発生し、当時の日本企業製造業では最大額の約8,000億円近くの赤字を計上した。赤字の原因はリーマンショックの影響はあるものの、本質的にはそれまでに抜本的な構造改革をしてこなかった不採算事業の累積であった。

図1日立連結最終損益の推移

出所: 2025年9月 SAP Select - CFO Executive Exchange 日立製作所CFO兼CRMO 加藤知巳氏ご講演資料

 リーマンショック以降の経営改革は、社長も交代して新チームで推進した。

 2010年度から始まった中期経営計画では、その後3つの中計期間にわたり、経営危機からの脱却と収益力向上の基盤作りのためにコア事業の選定を行った。社会イノベーション事業に注力分野を決めて事業ポートフォリオ再編、不採算事業撤退を断行し、コア事業としてLumada事業を立ち上げたのが最大の成果と認識している。

 社長が3代にわたり、ブレないで経営改革を進めたことが今の日立の基盤を作ったと考えている。

2025年10月15日

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