2015年8月20日
エッセンシャルズ
CFOにとっての会計システムの在り方
なぜ会計システムは経営トップの求める情報を提供できないのか
阿部 大祐
プライスウォーターハウスクーパース株式会社
ディレクター
住友 秀充
プライスウォーターハウスクーパース株式会社
マネージャー
会計システムの役割の変化
「会計システム」のアウトプットといえば、財務会計・管理会計を問わず、過去の結果である実績数値を示すというのが、従来からの役割であった(予算という計画数値との対比という側面はあるものの)。しかしながら、リーマンショックや震災等、不測の事態への対応を余儀なくされてきた各企業の経営トップは、過去の実績数値をまとめて報告するだけでは満足せず、経営判断に供し、打ち手につながる情報を求めている。その結果、最近になって、経営トップから財務・経理部門が有用な情報を提供できていないと叱咤されるCFOが多くなってきているように感じる。
PwCの調査*によると、多くの経営トップが経営管理で使用する情報に不満を感じている。その主な理由は、①情報が正しくない、②情報が遅い、③情報がわかりにくい(情報が比較できない)、④将来予測の情報が乏しいといったものである。
経営トップからの要求として、「会計システム」には、財務情報を正確に記帳するだけでなく、これまで以上に経営管理情報の充実(精度、スピード、予測、粒度や非財務情報といった情報量)が求められるとともに、単体企業のみならず海外子会社を含むグループ全体の財務情報・経営管理情報を管理することが必要となってきている。これらの経営トップからの要求に対応するためには、ERPパッケージ等の標準化されたシステムの導入が有効であり、すでに導入している会社は多いものの、それでもなお経営トップが満足しない例が多く見受けられる。
*出所: ”Is finance rising to the challenge?” - Finance effectiveness benchmark study 2010, PricewaterhouseCoopers LLP.
2015年8月20日