2021年4月15日
Insight
会社の競争力を引き上げるCFOの新たな役割㉘
デジタル・ビジネス・トランスフォーメンションを可能にする
未来のリーダーづくりは会社の存続を左右する
寺川 尚人
テラ・マネジメント・デザイン株式会社 代表取締役社長
株式会社Indigo Blue 代表取締役社長
コロナ禍におけるこの1年は、グローバルレベルで、物事の価値観や人生観、仕事観を大幅に変えた、ターニングポイントの1年となった。決して、従来に戻るような不可逆なことは起きない。
このことが意味するのは、ビジネスのステージも当然違うのだから、企業の存続のあり方においても全く違うアプローチに変えることが求められているということだ。
企業の評価・信頼につながる顧客の求める価値創造は、未来に何を実現できるかを示す存在意義(purpose)に共感できる企業によって創出される。
未来をつくる企業、未来を変えていく企業への期待は高く、未来づくりを可能にする人材がいるかどうかがその企業の将来を大きく左右する。今こそが、未来のリーダーづくりが本当にできているのかどうかを検証するタイミングであり、CFOはそこに関与すべきタイミングであると言える。
企業は、それぞれにどんな未来のリーダーが必要なのか、しっかり掘り下げるべきだ。これは、必ずしも企業にだけ言えることではない。日本においては、同調圧力になりやすく、集団における安定性を求め、飛び抜けた行動を抑制しようとする動きが散見されるし、従来パターンを良しとする動きが起きがちである。しかし、それを打ち破りながら、未来に向けて革新的なチャレンジを志す勇気のある人材だけが、世の中を変えることができる。そういう人材が待望されている。
ありたい姿を目指し、あるべき未来に向けて、社会的な課題を解決する姿勢=未来づくりこそ企業存在意義の姿だ。だが、未来づくりに関与するリーダーは、一般的に言えば、顧客やクライアント自身もまだ気づいていないような新しい利益やサービスを提供する方向を見つけ出すものの、やりたいことのニーズは必ずしも、企業内で受け入れられず、理解されるには時間と説得に多くのエネルギーと手間を費やすことになりかねない。
むしろ、目標が合致するパートナーと結ぶことが絶えず求められる。成功のためには、従来の企業トランスフォーメーションとは全く違うデジタル・ビジネス・トランスフォーメーション(DBX)を実現する会社へ脱皮できるかどうかだ。
2021年4月15日