2020年7月15日
- ゲスト
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久保 誠一 氏
日本オラクル株式会社
クラウドアプリケーション事業統括 ERP/EPMソリューション部 部長中田 清穂 氏
一般社団法人日本CFO協会主任研究委員、公認会計士
有限会社ナレッジネットワーク 代表取締役社長
- 進行・解説
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松田 千恵子 氏
一般社団法人日本CFO協会 主任研究委員
東京都立大学 大学院 経営学研究科 教授
【議論1】決算・監査手続きの遅延に伴う様々な課題への対処と今後の注意点
●緊急事態の中での株主総会開催のシナリオ
松田 本日は211名もの方々の視聴に御礼申し上げます。日本CFO協会では、2020年4月緊急事態宣言発出当日から1週間、緊急アンケート第2弾を実施しました。関心が高かったテーマは「決算・監査手続きの遅れ」が抜きんでており、「株主総会対応」や将来的な「業績発表、業績予測、中期計画等」も悩みが深かったところです。まずは、この3点についてお話を伺います。
社外役員も務められている中田先生、今年の株主総会はどうなりそうでしょうか。
中田 私が社外監査役を担当している上場企業では、監査でいつまでにOKがもらえなかったら、招集通知は最悪いつまでに発送するなどのシナリオをつくり、定時株主総会に対応しています。今回、特例が出たので最低限の情報を招集通知で出して、残りは財務諸表や監査報告書も含めてすべてウェブで開示するなどの工夫をしています。定時株主総会までに監査法人のOKが出なければ、6月末に開く定時株主総会の中で、会社側から動議を出して「継続会」を提案し、その場で継続会の開催を決定するというシナリオをつくっています。
海外子会社の状況や監査法人の対応は、会社側ではグリップできませんから、シナリオを考えて整理しながら進めていくしかないでしょう。シナリオに応じて事務方は時間をかけて社外役員の日程を押さえている感じです。
松田 「継続会」に関しては、「決算も見られないのに取締役の選任ができるか」と議決権行使助言会社が反対しています。そのあたりの議論はありましたか。
中田 それを「意識しながら」ですね。「監査上OKになっていない財務諸表に基づいて配当が決められるのか」という議論もあります。しかし、決算が遅れたとしても粗方の数字は見えています。業績もある程度の数字がありますから、見せ方もあると思います。納得するかどうかは、株主の方々の判断でしょう。緊急事態の中ですから、状況に応じてご判断いただくのがいいのではないかと思っています。
2020年7月15日