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CEF INSIGHTS

2026年2月19日 

新時代の経営を担う「神経系統」を
いかに創り上げるのか

谷口 宏

株式会社CFO本部 代表取締役社長

 日本CFO協会、日本CHRO協会、日本CLO協会の事務局を担っている株式会社CFO本部は、今、新しい挑戦を始めている。それが「コーポレート・エグゼクティブ・フォーラム」だ。

 なぜ今、3つの協会が横断的に連携する必要があるのか。それは、企業を取り巻く環境の激変と、経営そのものの本質的な変化に起因している。

デジタル時代がもたらした専門知識の大衆化

 AIによる生成技術の進化、デジタルコンピューティングの拡大により、かつて一部の専門家しかできなかった仕事を、誰もが簡単にできる時代が到来した。会計、税務、人事、法務といったテクニカルスキルは、もはや特定の部門だけの専門領域ではなくなった。この変化は、コーポレート部門に根本的な問い直しを迫っている。単なる「間接部門」「バックオフィス」という位置づけから脱却し、真に経営に貢献する機能へと生まれ変わる必要がある。

コーポレート機能とは何か

 日置圭介氏(株式会社CFO本部 取締役)は、「会社の神経系統を担当するコーポレート機能として生まれ変わるための神経系統を、自らの力で整備しないといけない」とコーポレート機能の本質を指摘する。

 財務、人事、法務といった職能部門の延長線上にコーポレート機能があるのではない。会社経営に必要な情報や資金、人といった要素を、経営陣から最前線までが共有するための統合的な神経系統、それがコーポレート機能であり、CFO、CHRO、CLO(GC)といったコアのコーポレート・エグゼクティブが率いるチームは、個別最適ではなく全体最適の視点から、企業の「最高の経営」を実現するために存在する。

日本企業が直面する3つの課題

 しかし現状、多くの日本企業では次のような課題が見られる。

 第1に、コーポレート機能の連携不足。

 弊社実施のサーベイでは、「経営機能として横断的に連携している」との回答は約半数にとどまり、「一部、プロジェクト等でのみ連携している」が最多という結果であった。財務と人事、経理と経営企画といった部門間の壁が、依然として存在している。

 第2に、人材の課題。

 「専門性の高い人材が不足している」「戦略マインドが不足している」という声が常に上位に挙がるが、これは単なる採用の問題ではなく、コーポレート機能全体をどう設計し、どのように人材を育成していくかという構造的な問題なのだ。

 第3に、テクノロジー活用の遅れ。

 データ活用やERPの統一、AIツールの導入など、オペレーション効率とビジネス貢献の両面で、まだまだ改善の余地がある。

各協会が果たしてきた役割

 振り返れば、日本CFO協会は2000年の発足以来、資本市場の変化に対応するファイナンス理論の普及、FP&A機能の強化、経営スキル検定(FASS)の開発などを通じて、財務・経理のプロフェッショナル育成に取り組んできた。

 日本CHRO協会は2018年、人的資本の重要性が高まる中で、経営戦略を人事面から支援する幹部人材の育成を進めている。そして日本CLO協会は2020年、グローバル展開やリスク管理の高度化に伴い、単なる契約管理を超えた戦略的法務の確立を目指してスタートした。しかし、それぞれが個別に活動するだけでは十分とは言えない状況だ。

なぜ今、3協会の連携が必要なのか

 「CFO-CHRO-CLO(GC)-CEO」というマネジメント・チームの連携こそが、企業の神経系統を機能させる鍵なのだ。

 実際、関心の高い経営テーマを見ても、「グループ経営管理の高度化」「業務プロセスの標準化・効率化」「M&A戦略」「サステナビリティへの取り組み」「後継者育成」など、どれも財務、人事、法務が連携して初めて成果を出せるものばかりである。

 「事業は強いがマネジメントがいまひとつ」という話は日本企業ではよく耳にするが、ビジネスとコーポレートのバランスが悪い企業は、ディスカウントされても仕方がない。

具体的な取り組み:共創と共学のプラットフォーム

 この課題解決に向けて、すでにいくつかの実践的な取り組みを始めている。

リアルな場での対話:次世代コーポレート・エグゼクティブ会議

 次世代コーポレート・エグゼクティブ会議では、次世代のCXOを担う部長・課長クラスの方々が一堂に会し、他社の他部門メンバーと深い対話を重ねる。小田原、京都と2回開催したこの会議では、財務・人事・法務といった部門の枠を超え、実務レベルでの横断的な知見共有が実現している。参加者からは「自社の課題が他社も抱える共通課題だと分かった」「具体的な解決のヒントを得られた」といった声が寄せられている。

継続的な学びの場:コーポレート・エグゼクティブ・フォーラム

 また、コーポレート・エグゼクティブ・フォーラムとして、3協会の会員を対象とした研修会や交流会も定期的に開催している。ここでは、コーポレート領域全般にわたるテーマを扱い、各分野のエグゼクティブが相互に学び合う場を提供している。

デジタルでつながる:オンラインコミュニティの拡充

 こうしたリアルな場での交流に加えて、オンラインコミュニティの充実も図っている。すでに3協会を通じて提供しているオンラインコミュニティには1万人を超える方々が参加し、研修会や勉強会で知り合った仲間同士の交流はもちろん、テーマ別のコミュニティも自然発生的に広がっている。

 これに加えて、現在、法人会員向けコミュニティの構築を進めている。個人が研修会で啓発されても、会社に戻れば日々の業務に追われ、せっかくの学びが組織に浸透しにくい。また、「どこの会社のCXOがこう言っていた」と伝えても、その場にいなかった社内の仲間には本来の意味が共有されないという悩みも聞こえてくる。

 そこで、法人会員同士が会社ぐるみで交流できるプラットフォームを構築中だ。各社が財務、人事、法務など部門ごとの現状や課題を共有する法人マイページを作成し、同じような悩みを抱える他社を検索して連絡を取り、意見交換を行う。このような企業間の直接的な対話が、私たちのプラットフォーム上で自律的に生まれる仕組みである。

 これは単なる情報提供ではない。法人会員同士が主体的に交流し、課題を共有し、共に解決策を探る、そんな共創の場が広がることで、コーポレート機能の進化が加速すると確信している。

 コーポレート・エグゼクティブ・フォーラムでは、今後このコーナーを通じて、3協会の活動報告や会員企業の実践事例、専門家による論考など、コーポレート機能全般にわたる情報を幅広く発信していく予定だ。部門の枠を超えた対話と学びの場として、多くの方々に活用いただければ幸いである。

2026年2月19日

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