2017年1月16日
GLOBAL MANAGEMENT グローバルマネジメント
無借金経営という独占的戦略
後藤 英夫
EYアドバイザリー株式会社
ストラテジック・オフィサー
無借金ポリシーと借金活用ポリシーの知の断絶
「ため込んだキャッシュを有効活用しないなら、株主に配当しろ」「株価(=PBR)が低いのは新たな事業投資機会を見い出せない経営者が無能だからだ。交代しろ」と、無借金を経営ポリシーとして採用している(以下、無借金ポリシー)企業の経営者が借金活用ポリシーのファンドマネージャー等からツッコミを受け、やむなくそれなりの対応を余儀なくされるという事象が発生している。
両者のポジションには様々なギャップが存在している(図1参照)。その中で最大のギャップは、経営環境変化発生の前提部分であろう。借金活用ポリシーでは、経営環境変化は原則発生しない例外事象であるのに対し、無借金ポリシーでは、いつでも発生しうるリスクなのである。無借金ポリシー(およびそれに近い)立場を採る経営者らは次のように述べている。
2017年1月16日