2022年10月17日
事例に学ぶデジタル活用の処方箋・二章
実践例から学ぶ体験(エクスペリエンス)の
経営/事業管理およびDXプロジェクトへの織り込み方
中野 浩志
SAPジャパン株式会社
早稲田大学大学院非常勤講師
一般社団法人日本CFO協会主任研究員
今日多くの企業で課題になっているのが、多様なステークホルダーといかに良好な関係を築けるかということだ。Bain & Companyが米国企業を対象に実施した調査では、顧客に素晴らしい体験を提供していると回答した企業は80%であった。一方、顧客で実際に素晴らしい体験をしていると回答した人はわずか8%。同様に、90%の経営層が新しいテクノロジーを導入する際に従業員のニーズに注意を払っていると回答しているのに対し、同じように認識している従業員の割合は53%というPwCによる調査結果もある。
体験を提供する側と受け取る側の認識の差を「エクスペリエンスギャップ」と呼ぶ。エクスペリエンスギャップを埋めて体験の質を高めるには、顧客や従業員の声を積極的に収集して分析し、改善アクションの実行を日常的に行う仕組み作りが必要になる。「測定できないものは管理できない」は、体験にも当てはまるといえよう。
本稿ではテクノロジーを活用した体験のPDCAサイクル管理について考察する。
2022年10月17日