2019年1月18日
企業価値創造経営の本質[第14回]
資本構成を考える
(フリーキャッシュフロー理論)
手島 直樹
小樽商科大学 大学院商学研究科 教授
エージェンシー・コストに基づく資本構成の考え方
過去3回の連載では、MM理論、トレードオフ理論、そしてペッキング・オーダー理論について議論をしてきたが、今回はフリーキャッシュフロー理論を取り上げて資本構成の議論を終えることにする。また、最後に総まとめとして資本構成決定の実践的フレームワークについても紹介する。
今回のテーマとなるフリーキャッシュフロー理論は、エージェンシー・コストに基づく理論である。エージェンシー・コストでは、昨今のガバナンス改革を見ればわかるように、経営者と株主のコンフリクトが注目されることが多いが、資本構成においては株主と債権者のコンフリクトも考慮しなければ、誤った判断につながりかねない。そこで、それぞれの関係について考えてみたい。
2019年1月18日