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Insight

会社の競争力を引き上げるCFOの新たな役割⑤
土壇場の難局を乗り越え、
先を見越した打ち手を大胆に取れるCFOを期待する

寺川 尚人

テラ・マネジメント・デザイン株式会社 代表取締役社長
株式会社Indigo Blue 代表取締役社長

 最近のビジネス課題を見ていると恐ろしい程に変化が激しく、ビジネスをリードしている企業は着手が早く、完了までのスピードが速い。それに対抗する企業にとっては、戦略の変更による打ち手や、戦略の後追いなど、相当キャッチアップは難しい。戦略の修正や間違いは会社の危機になる。

 このところ、グローバル企業で活躍できるCFOを探しているという話をよく聞くし、相談もある。実際に探している会社は多い。今やっているCFOの役割では物足りないか、求めている期待値や役割が高まっているのが要因かもしれない。そのうちの一つのポイントとしては、企業が生き残るための競争ルールが変わり、それに応えるCFOの武器と役割には、相当ハイレベルな経験と専門性を持ち、必要な人材を使いこなしながら、難しい判断ができるかどうかが求められているからかもしれない。企業の盛衰を左右するような決断をする時に、事の大きさに動揺せず、逃げず、しっかりと腹をくくり、細心かつ大胆に物事を捉え、ぶれない軸と、不安を一掃する安定感こそが、トップにとっていざという時に背中を押すような役割と信頼感を生む。一方、会社の現場を歩き、実情をしっかり把握し、その状態を踏まえた中で、わかっているからこそ最適な選択ができる(=今後何をすべきかを判断できる)力も要求される。この二つを兼ね備えている人材は稀だが、この微妙なバランス感覚が会社を救う。従来に増して、価値の金属疲労は早く、打ち手の選択肢を間違えると命取りになる。この厳しい局面で、今、企業価値をどう創出し、どのような会社にデザインするか、そのためには事の本質を見極めどこに軸を持つかで、会社は変わる。成長、進化のシナリオは、イメージできる選択肢の多さとキャパシティで決まる。経営の根幹を揺るがすようなテーマが山積みの中で、戦略的な期待値が高いCFOには、複雑化する経営環境をどう読み、先を考え、過去の延長線上には答えがないことを理解し、未来の扉を切り開く責任の一端を担う必要がある。些細なことに動揺しない心の免震構造と、打たれ強さと耐久力を磨き、仮にバッシングを受けても乗り越えることができる闘争心を組織として持ち続ける心配りが欲しい。

 また、CFOには、厳しさとしぶとさ、おかしなことには妥協を許さない強い意志を持つ一方、優しさと心配り、ある種の遊びを許す度量の広さと大胆さ、勇気とチャレンジ、リスクヘッジなど周到な準備をうまく使いながら、二律背反を使いこなすマネジメントが求められる。誤解なく言えば、常にフェアウェイのど真ん中でプレーをするだけでは存在価値はない。諦めない、やり抜くタフさが求められている。当然、事業採算性や事業計画達成の確度を高めるための選択と集中の具体的な活動、将来から逆算したビジネスの将来像と連動した財務投資シナリオなくして、会社の競争力と進化はない。また、やるべきことを社内外にメッセージとして、コミュニケーションする戦略も必要になる。とはいえ、業績下降修正やリスク対応においては、矢面に立たざるを得ない役割でもあり、どうしても安全策や慎重さにウエイトを置かざるを得ない傾向も強い。しかし、実際にアグレッシブにビジネスドメインを大胆に描き、M&Aも含めた事業ポジションを変える戦略をリードし、財務テクニックや資金調達を駆使しながら、実現のシナリオや環境作りにコミットし、経営トップの右腕として重要な意思決定や経営判断のサポートをしている戦略的な役割を担っているCFOもいる。会社が変わるには、CFOの機能領域におけるイノベーションはマストである。なお、ビジネスの成功においては、誰がその役割をやるのか、どういう組織でやるのか、誰に任せることで会社の成長に貢献できるのか、まさにヒトと組織こそ、欠かすことのできない重要なテーマであり、グローバルプレーヤーである企業のいくつかは、そこにこそ成長のエンジンがあることを見抜き、膨大なお金と時間をかけ、たゆまないチャレンジをしている。

 ところで、人の成長に敗北が価値を上げるケースがあることはご存知だろうか? アメリカ大統領のドナルド・トランプ氏は、過去に4回も破産しているという話を聞いたことがある。彼は、強靭な精神力とチャレンジにより、その都度復活しついに大統領になった。並の精神力の持ち主ではない。実は、大成功する企業にはこのような修羅場を生き抜いた、並の凡人が真似できない特殊な人間が多い。企業の再生には、特にこのような局面を乗り切る、右腕になるCFOが多い。彼らはそもそも負けることを恐れて戦いには望んでいない。だから、勝利を得ることができる。常に敗北が潜んでいる戦いだからこそ、リスクのある戦いだからこそ、人は燃える。そのような戦いに挑むには、敗北に耐えうる強い精神力、耐久力が必要である。負けを楽しんでいるか? くらいの大きなスケールで物事を捉えている。ダメな時の切り替えが早い。

 「絶望とは死に至る病である」というキェルケゴールの有名な言葉がある。厳しく苦しいからこそ、乗り越えた時の喜びは大きい。そのマインドとスタンスをCFOは持ち続けて欲しい。

2017年6月15日

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