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シーメンスもGEも極めつけの「売り巧者」

 日本企業の強みは“現場"にあると言われる。現場とは価値を生み出すところであり、M&Aにおける“現場"とは対象会社であろう。価値を生み出す主体を持っていた売り手が買い手に株式を譲渡するのが、M&Aである。売りがあるから、買いがある。買収と売却はセットであるはずだ。

 ところが、日本企業、ことに大企業は買収するも売却しない。上場企業の平均セグメント数は売却なき買収を重ねることで増え続け、セグメント数5つ以上の企業の割合は10%(1997年)から19%(2011年)にほぼ倍増している。確かに、業界再編は盛んに行われている。しかし、そのほとんどが「合併」だ。石油業界、損害保険業界、生命保険業界など、日本では合併によって企業が「くっつく」という歴史をたどっている。

 他方、海外に目を転じれば、買収と売却はセットで実施されている。

 ドイツのシーメンス社は、多角化事業の不振から脱出する過程で「売り巧者」に変身した。2000年以降、グローバル市場でリーダーになれる事業に集中するため、ノンコア事業を段階的に大胆に売却。主要部門に集中し、インフラを含めた4事業を深耕することで、利益率4.2%(1999年)から10.3%(2014年)へと大幅に改善させてきた。黒字事業でも売却することにより豊富な投資・買収資金を獲得。ユーロ危機もサバイブした同社は海外でも大きく成長しており、海外ビジネスの割合を85%程度まで伸ばしている。

 GEの「ナンバー1かナンバー2の事業しか残さない」という戦略は有名だが、金融事業(GEキャピタル)は例外的に、「儲かっていれば残しておけばいい」とされてきた。しかし金融危機を契機に、事業リスクが顕在化した金融事業を縮小して、製造業回帰を加速させた。ナンバー1、ナンバー2でないといえどもGEの金融事業は巨大だった。2001年、金融事業はGEの利益構成の46%を占め、本業のインダストリアル事業の37%を大きく上回っていた。少しずつ金融事業を売却しながら、インダストリアル事業の買収を進めることで、できるだけ売上(規模)を下げずに金融事業の規模を縮小していこうというのがGEのやり方だ。2014年で構成比は、金融42%、インダストリアル57%まで変化し、2018年に金融10%未満、インダストリアル90%超という利益構成を目指している。

 業界としてはどうだろうか。医薬品業界のグローバル業界再編は、売上規模の追求ではなく「専門分野強化」の動きが強い。ノバルティス(グローバルナンバー2)はワクチン事業をグラクソ・スミスクライン(ナンバー6)に渡し、グラクソ・スミスクラインはノバルティスに抗がん剤製品群を渡している。両社は合弁で一般用医薬品会社も設立している。

 こうした分野ごとの買収・売却の動きは日本企業でも徐々に始まりつつある。今後、需給バランスを均衡させるための業界再編が終わった後、日本企業に問われるのは、この動き(売却)ができるかどうかである。

2016年2月15日

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