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2016年3月1日 

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強まる経済的相互依存の実態

 1970年代、9.2%であった世界のGDPに占める貿易額の比率は、2014年には24%を超えた。GDPのおよそ四分の一の規模にまで貿易は伸長したわけで、貿易を通じた他国、他企業への依存が増している。実際、IMF統計でも、1970年から2013年までの間、1%の経済成長に対して貿易は平均して1.7%伸びている。

 こうした貿易の進展には、当然ながら理由がある。一つには、GATTやWTO、FTAなど二国間、多国間のさまざまな制度的な枠組みの広まりがある。輸送に関わる技術革新も貿易の進展を後押しした。コンテナ船が初めて使われたのは1956年だと聞く。技術革新によって造船コストが下がり、輸送費が下がり、大型化、効率化して貿易の進展を支えた。

 直接投資も盛んになっている。特に90年代以降、さまざまな制度的な要因、あるいは企業行動の変化によって増加している。金融の相互依存も深まっている。世界の証券投資は、1980年代はGDPの1%程度であったが、2000年代に入るとMax5%程度まで上昇している。クロスボーダーの銀行融資残高は、1983年にはGDP比6.1%程度であったが、2007年には2割超まで上昇している。

 相互依存は、経済だけではなく安全保障分野にも及んでいる。どこの国でも、戦闘機は他国に頼らず自国で作りたいものだ。しかし、米国のF-35戦闘機の生産には、実に9カ国が関わっている。戦闘機は1機の値段が極めて高額であり、コスト面でも、技術面からも、もはや1国だけでは作れないのが実態である。人の相互依存、交流の活発化については言わずもがなである。

 相互依存をさらに広げて考えれば、世界共通の会計基準や世界共通の金融の規制のあり方等、一つのルールや原則を共同で使う傾向が強まった。ある国のスタンダードが世界に広がり、世界が狭くなり、お互いに依存するようになっている。

 このように強まる相互依存は、今後の世界にどういう影響を与えるか。企業活動を担っている皆様と一緒に考えてみたいと思う。

 世界中で貿易や金融、直接投資を行っている行動の主体は企業である。企業は環境を見て、合理的な判断の下に実行する。こうしたミクロの経済活動は、経済全体や国際政治にどのような影響を及ぼすのか。ことに国際的な平和や安定に高まる相互依存はどう影響していくのか。逆に言えば、影響を受けないような相互依存のつくり方とはどのようなものか。それを私は考えたいと思っている。とりわけ中国との関係づくりは一つの大きなテーマである。

 もう一つ、今、大学に籍を置いて思うのは、国際政治を研究する学者と国政経済を研究する学者が同じ舞台で話をすることが少ないということだ。例えば、国際的な平和や安定のための話をするとき、ツールは主として軍事や外交であり、経済に関係するのはせいぜいODAである。経済学者が経済の話をするときのツールとして出てくるのがFTAやEPAである。経済の相互依存という極めて意味のあるツールが、国際的な平和と安全の問題として議論がなされない。そうした政治と経済の間について考えてみたいと思う。

2016年3月1日

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