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Insight

会社の競争力を引き上げるCFOの新たな役割⑧
ディスラプター時代の取締役の要は、
破壊的イノベーションを推進するCFO

寺川 尚人

テラ・マネジメント・デザイン株式会社 代表取締役社長
株式会社Indigo Blue 代表取締役社長

 最近、グローバルな競争環境を受けて経営体制の見直しが図られ、ガバナンスの強化とコンプライアンスの徹底の観点から、社内取締役の数はかなり減ってきた。グローバルの競争ルールとビジネスの観点からすると、当然の流れとして理解すべきだろう。また、業績や将来の企業発展の観点から、社外取締役をどう選任するのかは、ますます重要な意味を持ち始めた。社外取締役には、内輪の論理に振り回されることなく、社外からの目線で、十二分に経営監督機能を担ってもらう必要がある。

 一方、数少ない社内取締役の役割は、従来より一層高まっている。経営そのものを舵取り、世の中にビジョンを掲げ企業価値を捻出できる経営チームをつくりあげることが必要であり、どのような経験と判断軸を持った人が、経営を担うかが問われている。

 執行役員と取締役とでは、求められている職責とやるべき役割・責務が違う。取締役には、執行役員の延長ではなく、真に経営を任せるに相応しい人材を正しく選び抜くことこそ、企業がゴーイングコンサーンでいられる大事な肝になる。

 そういった意味を踏まえると、執行役員の段階で何を経験し、何を成し遂げた人物を選ぶべきなのか?

 一つは、過去の成功の切り口を壊し、周囲の反対や突き上げにも屈しない人間的な器の大きさ。さらには、その会社に相応しいイノベーションに果敢にチャレンジした修羅場の経験を備え、鋭い経営センスを磨かざるを得ない局面において、どのように乗り越え、いかに新しい価値の創造と企業成長に貢献してきたのかを見極めるような基軸で取締役の登用を考えることが本当に重要だ。

 その数少ない取締役のポストにおいて、特に重要かつ広範囲の経営役割を遂行できる要として、CFO領域には、強く、かつ、しなやかな人材をぜひとも選んでほしい。

 ディスラプター時代にどう生き残るか、デジタルの世界が将来どうなるかを見据え、デジタルを武器にした経営は何を実現することを目指すのか。デジタル変革を社内に断行し、顧客接点を最大限活かし、既存事業の延命を図る持続的なイノベーションと、これまでのビジネスとは異なる次の柱になりうる破壊的なイノベーションの両方を目指すのか、といった戦略の明確化と、それをどのように実施するのかというマイルストーンを置きながらの事業計画への戦略的な財務・会計アプローチの両方を、どう実現し、実行するかが鍵になる。

 取締役に一番大きく期待されることは、株主を含むステークホルダーとの約束を守り、環境の厳しい局面においても、期待値を超える成果をあげ、メッセージを発信し続けること、未来に対して、優れた戦略と打ち手で、夢の実現を感じられる経営を行うことである。見通しを見誤れば、待っているのは厳しい市場からの評価であり、企業の選別が加速され、猶予のない容赦なき優勝劣敗のプロセスが待っている。立ち尽くすリスクより、果敢なリーダーシップの下、研ぎ澄まされた戦略眼と優れた洞察力と構想力、大胆な決断力が企業を救う。事業構造に破壊と創造をもたらす実行力と、常に新しい事業を創り出していかなければならないという強い信念こそが環境の変化に立ち向かうための手段と捉えている。常に創造的な自己破壊能力が組織の遺伝子に組み込まれてこそ、高い企業価値を生み続けることになる。

 「正しい破壊は全てを新しくする。より良くしようと破壊に挑戦する会社が良い。未来に向かって自分たちを生まれ変わらせることが重要だ」──インドのタタ・グループ会長ラタン・タタの言葉が象徴している。

 今後、「誰にでもできる仕事は価値を失う」という先を見越した経営戦略を打ち出し、価値喪失につながる仕事や専門性の洗い出し、緊張感や危機感を組織に醸成し、どこに次のビジネスの可能性を目指すのかといった大胆な事業テーマの見直しを敢行する必要がある。裏を返せば、従来の常識や勝利の方程式は通じない。会社の生き残りにつながる付加価値を生み出し続ける組織風土や、ビジネスの成功確率を高める工夫をどう確立するかも大事な戦略だ。求められる人材は、従来の優秀と言われていた情報処理能力が高く、やってほしいことへの条件反射の早い人材から、創造的かつ変化を敏感に嗅ぎ分けて周囲を説得し、タイミングを失わず、遣り抜くような人材へと変化している。そうした人材を価値と認め、その人材にチャンスと可能性を追求させる役割を、ぜひCFOには担ってほしい。リスクを背負ってチャレンジする人材を鍛えることや、それを支援することが、インタンジブルなアセットであり将来の財産になる。

 インタンジブルなアセットを戦略的に高め、磨き、どうビジネスにつなげるかこそ、CFOにとって次世代経営を成功させるための新たなメジャメントになる。

2017年12月15日

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