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2017年5月15日 

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企業価値創造経営の本質[第4回]
ROEに潜む問題点

手島 直樹

小樽商科大学ビジネススクール 准教授

低水準のROE(自己資本利益率)が許されない時代

 これまで3回の連載では、事業ドライバー、FCF、そしてROICについて述べてきた。簡単に振り返ると、事業ドライバーを改善することによりFCFが増加し、資本効率性指標であるROICも改善するということである。よって、株式市場が事業ドライバーの持続的な改善を予測すれば、将来FCFの成長が期待され、企業価値が拡大することになる。

 このように考えれば、企業はFCFやROICに対して高い関心を持つはずだが、現状としてはROEに対する関心の方がはるかに高い。平成28年度生命保険協会調査によれば、中期経営計画で公表している指標として、ROEが56.9%、ROICが4.1%、そしてFCFが8.9%となっている。こうしたギャップの背景には、株主重視のガバナンス改革が進展する中で「ROE包囲網」が完成したことがある。まず、「伊藤レポート」には「最低限8%を上回るROEを達成することに各企業はコミットすべきである」と述べられている。次に、JPX日経インデックス400の採用銘柄選定には、3年平均のROEが基準として利用されている。また、米国の大手議決権行使助言会社は、5年平均のROEが5%未満で改善傾向がない企業の取締役選任議案に反対を推奨している。こうした包囲網により低水準のROEが許されない時代となったのだ。

2017年5月15日

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