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Insight

会社の競争力を引き上げるCFOの新たな役割④
経営危機におけるCFOの強さと役割

寺川 尚人

テラ・マネジメント・デザイン株式会社 代表取締役社長
株式会社Indigo Blue 代表取締役社長

 昨今の出来事の中で、過去優良企業の名を遂げていた会社のいくつかがあっという間に地に落ちていったことに、こんなに企業の脆さを感じるのはどういうことなのだろうか?

 過去の栄光に浸ったり、おかしなことに目を背けてきたりしたことへのつけが回っているのも一因かもしれない。一方、どんなに努力していたとしても、時代を読み間違えていたり、判断を間違えていたりしたことに気が付かないで、結果として大きな影響を及ぼしてしまったのかもしれない。このような状況を未然に防ぎ、または、起きてしまったことから脱却することはCFOの重要な役割のひとつと言える。

 おかしくなっている会社にはそれなりの特徴があり、それをどう解決するかのシナリオが残念ながらできていない。状況に合わせて方法論はいろいろあるが、その選択肢の選び方によって、その会社の命運が決まる場合が多いことも知っておくべきだ。タガの緩んだ会社に規律を取り戻し、その会社が持っている本来の姿を実現するために、CFOには「企業復活の番人」として追求し続ける役割を是非とも目指してほしい。

 企業価値の観点から現状の課題や問題点を精査し、審議すべき財務的なコントロールをスピーディーに行い、徹底的な過去の投資回収状況のレビューをし、何が良くて何がいけなかったのかを会社の教訓として、徹底・共有することをお勧めする。立て直しのやり方の一つとしては、経営メンバーが、それぞれ経営体質強化の領域ごとに責任体制を作り、それらの情報を透明化して共有を図り、全社横断的に戦略を立ててベクトル合わせをすることだ。

 一般的には、おかしくなった会社の特徴は、本来、経営意思決定する会議を頂点にした業務執行などの意思決定メカニズムが適切に機能していないケースが多い。そのため、それを復活する手段としては、烏合の衆になっている状況を乗り切るために、戦略、事業企画、研究開発等関連部署の情報を集約し、その切り口から案件ベースで検討・評価をさせ、会社の利益につながる合理的な判断をできるようにさせることが、まず大事な一歩と言える。

 会社がダメになる兆候は、社外環境の変化と、社内の自らの甘えや油断、矛盾を正す抑止力を失った自家中毒といった自らの要因から身動きできなくなっているケースが多い。そこから抜け出すためには、自分達が自分達自身を苦しめている現象の兆候に早く気づくことが必要だ。やるべきことに本来の意図を持たず、毎日決められたことを何も問題意識を持たず繰り返すつまらない会社や社員になっていないかを問うこと、そして過去の栄光にすがることなく、積もり積もった垢をふるい落とし、本来のあるべき姿をどう目指し、追求できるかに尽きる。回復ではなく、新しく生まれ変わるという意志の徹底しかない。問題状況を正確にオープンにし、一人ひとりの課題としてそれぞれが真剣に考え、具体的な形を示すための処方箋が必要だ。今までの道には帰れない。新しい時代に即応した新しい考え方を、勇気をもってどんどん取り入れていくことが重要だ。キーワードとして以下のことが挙げられる。

①従来のポジションに拘らず、衆智を集めて決する機動的な経営チームに切り替えること。経営そのものをイノベーションする覚悟が必要であり、やるべきことを数字で指し示すことが明確なストーリーになる。

②おかしくなる会社は、戦略転換点を見過ごしているケースが多い。どこがそのポイントだったのかを見極め、今からでもやれる選択肢を探し、実行すること。

③正常な危機感や経営の緊張感を取り戻し、アンテナやセンサーの感度を上げる工夫が必要。視野狭窄的な会社の状況を回避し、社会存在感度を上げること。それができなければ会社はつぶれると思うこと。

 以上の3つを組み合わせて新しい会社の定義を生み出し、社内外にわかりやすいコンセプトに仕立て実現することを必死にやるべきだ。

 私が偉大なる人物であると尊敬する元ソニーの盛田会長は、このようなことを述べていた。

「経営首脳の不思議なところは、ミスをしてもその時には誰にも気づかれず何年もそのままでいられる点である。それは経営というものが一種の詐欺まがいの仕事にもなりかねないことを意味する」

 まさに経営者が自戒しなければならない指摘であると思う。こうした状況を未然に防ぎ、万が一そのような状況に陥った時でも、CFOは毅然とした態度でこの難しい役割を、局面打破の強い処方箋を描き実行してほしい。ますますその役割は重要となり、会社の生命線を左右する。

2017年4月17日

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