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榎本 俊彦

日本精工株式会社 執行役財務本部副本部長

NSKグループのご紹介

 日本精工(NSK)は、1916年に日本初のベアリングメーカーとして誕生し、2016年で創業100年の節目を迎える。2014年3月期のNSKグループの売上高は8,717億円、総資産が1兆円強となっている。主な製品は軸受(ベアリング)と自動車部品である。ベアリングは、構造はシンプルだが非常に高い精度を要求される。パソコン、掃除機、洗濯機、エアコン、自動車、鉄道車両、航空機や人工衛星にも使われ、使われる製品や用途によってその大きさ・仕様も多種多様で、年間で約22億個を生産している。自動車部品にはモーターでパワーアシストする電動パワーステアリング(EPS)などがあり、EPS搭載車の増加とともに売上高も拡大している。また、販売を地域別に見れば、2014年3月期のグループ売上高の62%が海外販売、法人所在地別の人員も海外が6割強で、とりわけアジアの比率が高まっている。

 海外展開の第一歩は1960年代にさかのぼる。70年代には海外で生産を開始。90年代後半以降、アジア・中国展開を加速させた。95年の海外売上高比率は29%で、これ以降今日に至るまで海外売上高が急拡大している。グローバルな拠点では、NSKグループ関係会社115社のうち、国内36社、海外79社で、とりわけ中国には連結子会社が16社、持分法子会社が3社、生産拠点は12工場あり、現地での生産販売金額が増加している。また、統括拠点は、欧州、米州のほか、中国、アセアン(シンガポール)、インドに設けている。

 まずは、このように海外比重が高まっているNSKグループのガバナンス体制強化の取り組みについてお話ししたい。

NSKグループのガバナンス体制

 NSKグループのガバナンス体制強化の取り組みは、1999年執行役員制度を導入し、社外取締役を招聘したところから始まる。2004年に委員会等設置会社に移行。2006年、会社法に基づく委員会設置会社として、取締役会に2名の社外取締役と1名の社内取締役で構成される監査・報酬・指名の3委員会を設置している。同年、業務執行機関の内部統制を強化するための専任プロジェクトチームを発足。2009年には、このチームは「経営モニタリング室」に移管・吸収され、現在は「経営監査部」としてその機能を継続・強化している。経営監査部は社長直轄の組織として、執行から独立した形で、監査委員会と連係しながら監査委員会の職務を補助する。このようにNSKグループのコーポレートガバナンスは、取締役会という監督機関のもとに、業務執行機関が効率的で公正な経営を実現できる仕組みとなっている。

 監督機関としての取締役会は、経営の基本方針等の重要な経営事項を決定、前述の3委員会もそれぞれ職務執行の監査や、執行役等の報酬の決定、取締役の選解任議案の内容決定等、企業運営に重要な事項を決める役割を担っている。なお、監査委員会の委員長は社外の取締役が委員長に就き、社内の取締役は非執行となっている。

 業務執行機関では、取締役会で選任された執行役が業務を執行する。業務内容の報告および情報の共有化は「執行役会」で行われる。「経営会議」は意思決定の補助機関であり、ここでの議論を踏まえて、代表執行役の社長が経営判断していくという建てつけになっている。「コーポレート経営本部」は、内部統制システムおよびリスク管理体制を整備する組織として設置されており、全般的なリスクの統括管理の役割も担う。「コンプライアンス委員会」は、コンプライアンス強化に向けた方針を策定し、その方針に基づいて「コンプライアンス本部」が強化策を実施する。さらに、開示情報の適時性あるいは適正性を確保するという目的で「情報開示委員会」が、また、自然災害や重大事故等のリスク管理を整備・評価する役割で「危機管理委員会」が設置されている。

 取締役の人員は、社外取締役4名を含む12名で構成され、執行役は、社長を含め35名(うち外国人4名)となっている。

 こうしたガバナンス体制のもと、NSKグループの事業運営はどのようになされているかを次に説明したい。

事業・地域・機能の三次元体制

 NSKグループの事業運営は、「事業本部」を第一の軸に「地域本部」「機能本部」の二つの軸を加えた三次元体制で行われている。

 事業本部は、グローバルに事業運営を統括し、事業戦略の立案と事業計画の策定を行う。また、生産・販売・技術の機能を持ち、事業の最終責任を負う。

 地域本部は、各地域の執行部門を統括する。事業本部・機能本部と連携し、地域戦略の立案、地域活動の統括、課題のとりまとめ等を行う。

 経理財務のような機能本部は、機能をグループ横断的に支援する役割を担う。それぞれの機能に関する戦略の立案・展開をしていくことで、グループ横断的な視点によるグループ経営の全体最適化の推進が求められている。

 事業軸から見た業務の基本フローから、この三次元体制をもう少し具体的に説明すると、地域本部は事業軸と機能軸を持ち、地域の中でそれぞれが連携して戦略を立案、計画を策定し、最終的に事業本部がそれを承認する。また、進捗モニターや実績管理も地域内の事業と機能が連携して行い、事業本部がグローバルなPDCAサイクルを回す形がNSKグループの基本的な事業運営のフローである。

 一方、リスク管理の面では、執行機関として代表執行役を補佐する「コーポレート経営本部」が、取締役会の定めた内部統制に係る基本方針に基づいてグループを俯瞰し、内在するビジネスリスクを洗い出し、分析・評価する。

 具体的なリスクに対する監査体制は、社長直轄の経営監査部が監査委員会と連係し、各地域のInternal Audit Officeと連携をとりながら、グローバルな監査体制を敷いている。これにより、各地域におけるリスクの統括や内部監査が実施できる体制を整備している。

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経理・財務部門の役割と取り組み

 このような体制の中で、経理・財務部門は、通常業務の決算、税務、資金管理のほか、経営基盤の強化を図るために、グローバルな業務の標準化を目指した取り組みを実施している。2005年頃からは「決算期統一プロジェクト」でグループ会社の決算期を3月期に統一した。最近の「IFRSプロジェクト」においては、グループ経理基準・会計処理規定の制定や勘定科目の統一を実施した。

 IFRSの適用も視野に入れた具体的な取り組みとしては、IFRSへの変更時の会計上の論点整理、影響額の見積もりや注記の作成など、IFRS採用に必要な情報を網羅的に整理した。このような経緯のなかで、14年3月期から減価償却方法や耐用年数をNSKグループで統一した。

 さらに、単体あるいは連結の会計システムも刷新、インハウスのシステムからパッケージへの移行や連結システムのバージョンアップなど、システム面での基盤強化もあわせて実施した。

 一方、管理会計面では、「管理会計標準化プロジェクト」としてさまざまな取り組みを進めており、例えばグループ標準化の1つとして、原価管理の標準モデルを構築する取り組みなども行っている。

 われわれの最終的な狙いは、グローバルな業務標準化による経営基盤の強化であり、本社財務本部、事業本部における管理部門、地域本部のCFOが緊密に連携をとり、財務本部のグリップ力を高め、財務機能のグローバル化を確立させることである。そのために、プロジェクト的に標準化を進める一方、財務本部長である外国人執行役も交え、グローバルなコミュニケーション強化への取り組みを加速している。

※本稿は、2014年5月22日開催の「グループ経営統治力の強化とその実践セミナー~改訂COSOフレームワークを活用したグループ経営統治力の強化と経営管理体制の見直し~」の講演内容を編集部にてまとめたものです。

2014年9月16日

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