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Insight

会社の競争力を引き上げるCFOの新たな役割③
CFOは金のなる木を本気で作る

寺川 尚人

テラ・マネジメント・デザイン株式会社 代表取締役社長
株式会社Indigo Blue 代表取締役社長

 会社の中に、素晴らしい技術やビジネスの可能性はあるが、なかなか日の目を見ないビジネスや技術はないだろうか? その会社の強みは使えず、人材もいない。過去にやり遂げた技術は筋が良いかもしれないが、実行している人のビジネスセンスがなく、結果を出せず、このままではビジネスが清算の憂き目にあっても当然のようなケース。そんな時、皆さんはどうされるだろうか?

 通常、CFOの仕事は大変役割が多く忙しい。例えば、企業価値を上げるための経営戦略と事業計画の策定・管理オペレーションの責任者、ステークホルダー等に対外的に公表した計画目標の結果説明・財務状況の四半期毎の業績報告者、会社にフィットした経営機構の改革(取締役会のあり方、社外取締役の役割と期待、執行と監督のあり方、株主の視点での経営ガバナンス)、グループ戦略本社のあり方(本社機能の再定義、コーポレートの組織デザインの実現、本社スタッフの役割強化、グループとしての経営戦略機能の強化、事業ユニットへのガバナンスやコーディネーションのあり方)、研究・開発体制やグローバル拠点の構築・再編、新しいマーケティング体制のあり方、環境変化に対応したスピードとコストを意識した生産・物流・販売体制への変更・見直しのあり方と管理の仕方の実施責任者等、会社の根幹にまつわる仕組みとトップの右腕として数字を中心とした番頭的な仕事等、得てしてコンサバで、守りに強い役割を背負うことが多くなる。

 一方、将来を見据えて考えると、従来は必ずしも力を入れてきていないが、やった方が良いテーマは沢山ある(CFOの仕事なのかと思う方々も多いかもしれないが)。新規事業の立ち上げを可能にする支援サポート、M&Aを中心とした将来ビジネスを見据えた準備、世の中から魅力のある会社と感じられるブランディングと対外的なメッセージ作り、優秀な人材が成長できる仕組み・評価方法の確立、成果の実現が可能になる組織環境整備(人材配置、計画的な育成、納得の高い報酬制度と評価プロセスの確立)を人事と一緒に実行し、社員のやる気を引き出してモチベーションを高める施策の実現、常に変革が常態化している状態を引き出し推進できる組織運営体制、企業価値が上がるためのイノベーション活動推進等、書き上げれば切りがないほどである。

 積極的に前向きに変化を起こしチャレンジするか、環境の変化を待って受け身的にするかで自ずと成果は違ってくる。要はCFOとは経営・ビジネスに係わる出来事に対して、理解し判断できる経験と知識を持ち、情報と技術を総合的に経営戦略や経営企画につなげ、実行するプロでなければいけない。特に、BSやPLに出ないインタンジブルなアセットを、キャピタルとして正しく認識ができ、その価値を引き上げ、どう活用できるかに尽きる。

 それには、私利私欲を捨て、トップや経営メンバーに理解させ、短期だけでなく中期・長期にわたる経営戦略の計画とロードマップを実現できる役割が絶対に必要である。特に利益が出れば何でもありき的な動きや、オーナーの暴走、経営数字に関与している部隊の人心を無視した活動を阻止するためにも、その役割は大きい。

 特に、ビジネスの競争環境が大きく変わること=戦略が変わるという観点で何をしなければいけないのか。必要なことは、専門領域強化の方法、今後余剰化する可能性がある会社群の有効な活用や事業領域の選択と集中、事業効率の観点からの投資の判断等があげられる。それには、実現可能な経営企画・管理人材の確保と必要な専門領域人材への変換方法、同業他社に負けない人材の厚みと適正配置が避けられない。守りをする仕事だけでなく、是非、将来の柱になる攻めのビジネスを立ち上げるスポンサー的な仕事を行い、金のなる木を作る役割を果たして欲しい。

 このようなケースのほとんどが、従来の延長線上にないビジネス=すなわち、ビジネスモデルが違い、戦う土俵が違うビジネスになる。そこには、「新しい酒は新しい革袋に」という例えがあるように、発想を変え、過去に縛られないことをいくつか想定して対応できる人材を鍛えることも必要だ。また、どこまでの赤字であれば許容範囲なのかを決め、撤退ルールを持ちながら、我慢強く耐える努力も必要になる。そして、このビジネスにおいてさらに必要なことは、競合する企業と何が違うのかを認識し、スピードとビジネスの時間的要請に間に合わせるやり方の導入である。人材についていえば、競争相手はどんな企業なのか、例えば、欧米のベンチャー企業が相手であれば、それと同じステージで評価する仕組みを認め、メジャーメント(尺度)や仕組みのあり方をデザインしないと、本当に優秀な人材はリテンションできない。そして、その人材は稀少だ。世の中のマーケットが固まっていないビジネスでは、それに応えられる人材は本当に少なく、奪い合いと言っても過言ではない。また、どのような人材がこのビジネスの肝になるかを間違えると、ビジネスは立ち上がらない。治外法権とまではいかないが、本来のルールに縛られて引きずられることは、そもそもビジネスを育て、勝てる環境を捨てていると言わざるを得ない。

 単独で事業が進まないときは、少しでも早く進めるために外部と一緒に組んだ方が良いケースもある。新会社を設立し、足りない専門領域を補うためにお互いのマーケットや顧客をシェアするなど、それぞれの持っている強みのピースを組み合わせて事業をスタートすることで、ビジネスのタイミングと成功確率を上げるケースは多い。このことにより、諦めていたビジネスを新たな業態に変化させ、従来のやり方や強みを捨てた全く新しいビジネスモデルに作り変えることもできる。これらのアプローチのポイントとしては、ヒトは従来、発想の枠組みから脱出しにくいのが常ではあるが、そこから脱した「違う発想や視点を持ったメンバーの議論や考え方の受け入れ」と「今まで気がつかなかった部分の視点をどのように活かすかという組織の化学変化」とが大変意味をもつということ。しがらみや“前例”というやり方を諦めることや捨てることにより全く違うビュー(視座)が見え、ビジネスのやり方やルールを変えるポイントになる。21世紀はできないと思われていたことができる時代になって、顧客のベネフィットを追求したサービスビジネスが可能になる。

2017年2月15日

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