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デジタルエンタープライズの実現に向けて
~新しいビジネスモデル・サービスへの活用~

中野 浩志

SAPジャパン株式会社
米国公認会計士・公認情報システム監査人
早稲田大学大学院非常勤講師
日本CFO協会主任研究委員

 米国シリコンバレーに拠点を置くEVベンチャーのテスラモーターズ(以下テスラ社)は、最新の「モデル3」を予約販売だけで30万台受注した。テスラ社は車の自動車業界に新しいビジネスモデルをもたらし、製品の発売の仕方まで変えた。テスラ社も最終的に売っているのは車というハードウエアであるが、中身がソフトウエアによって作り変えられている。それにより、これまでに技術的に不可能だったことや経済的に採算が合わなかったことが可能になり、新しいものづくりやビジネスモデルが生まれてきている。

ソフト主導のハードを売る時代

 デジタルデータとITテクノロジーを活用して既存のビジネスを刷新しているのはベンチャー企業だけでない。生産設備で利用される圧縮空気を届けるコンプレッサー専業メーカー、独ケーザー・コンプレッサー(以下ケーザー社)の取り組みを見てみよう。通常、コンプレッサーは顧客の工場が機器を購入・設置し、メンテナンスまで行う。しかし、ケーザー社は顧客が必要なのはコンプレッサーではなく圧縮空気である点に着目し、同社が機器企画・設置・運用保守・サービスまで担当して、顧客は圧縮空気を使った分だけ支払うサービスを作り出した。同社は設置した機器から空気温度、圧縮レベル、消費電力などの大量データをリアルタイムに収集・蓄積して利用パターンや正常な運用状況パターン分析を行い、高い稼働率・稼働性能を保証する保守運用サービスをリモートで提供している。単に製品を販売するだけでなく、製品の利用状況といったデータをネットワーク経由で取得し、そのデータに基づいて新サービスを創造した好事例と言える。新サービスを支えているのが大量データの高速処理を可能とするインメモリーデータベースやインメモリー上で稼働する次世代ERPなどの最新テクノロジーだ。顧客視点で見ると、固定費の変動費化のみならず、自社保守要員を持たずにケーザー社の機器稼働・制御ノウハウを利用して高い稼動率や消費電力削減を期待できることになり、業界中堅である同社が顧客から選ばれる差異化戦略の要となっている。

2016年10月14日

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