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デジタルエンタープライズの実現に向けて
~業務プロセス変革~

中野 浩志

SAPジャパン株式会社
米国公認会計士・公認情報システム監査人
早稲田大学大学院非常勤講師
日本CFO協会主任研究委員

 先進企業はITテクノロジーとデジタルデータをどのように自社のビジネスに活かしているのだろうか。デジタルトランスフォーメーション成熟度別に取組事例をご紹介していく第二回目の本稿テーマは「業務プロセスの改善」である(図1)。

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外部サービスと連携した経費管理プロセスの高度化

 まず私たちにとって身近な経費精算業務での取り組みを見てみよう。経費精算は企業間競争上差別化要因にはならないため、承認プロセスをはじめとしたグローバルルールや業務プロセスの標準化・簡素化と合わせて、ITテクノロジーを活用して如何に経費精算の仕事そのものをなくしていくかがポイントになる。

 グローバル企業A社では、クラウドで短期導入が可能であり、外部サービスや基幹業務(ERP)とシームレスに連携できる次世代経費管理システムを活用して、社員を煩雑な経費精算業務から解放するだけでなく、外部サービス提供企業と自社業務プロセスをエンドツーエンドで自動化することでコスト削減とガバナンス強化を推進している。例えば、スマートフォンに行先を入れてタクシーを手配すると、降車時に運賃を支払うことなく電子化された乗車実績明細データが利用者企業に転送されて経費管理システムに取り込まれ、コーポレートカードで決済が行われるという具合だ。同社社員から見ると、タクシー経費精算入力は不要になり、自動登録された乗車明細を確認するだけとなる。また、財務経理部門から見ると、手入力による誤謬や不正リスクを回避し、社内ルールが組み込まれたシステムの利用を通してガバナンス強化を図れることになる。

 A社のように外部サービスを適宜組み合わせてビジネスネットワークを構築できる仕組みの整備は、企業内に蓄積されたデータ活用の幅を広げるという意味でも重要になる。例えば海外出張の際、UK等欧州の一部や韓国などでは商用目的で支払ったVAT(付加価値税)を所定の手続きを行うことで現地の税務当局より払い戻し(還付)してもらうことができる。一方、制度は国ごとに異なり、手続きも非常に煩雑であることから還付を諦めている企業が少なくないのも事実だ。この場合、経費管理システムから直接利用できる外部サービスを活用し、経費支出データからVAT還付対象の経費のみを検出して還付申請業務を代行する、新たなプロセスを自社業務プロセスに組み込むことが選択肢になる。費用対効果は各社ごとに異なるが、グローバル企業では数億円規模の還付金が戻るケースも存在する。

2016年6月15日

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