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デジタルエンタープライズの実現に向けて
~意思決定の高度化~

中野 浩志

SAPジャパン株式会社
米国公認会計士・公認情報システム監査人
早稲田大学大学院非常勤講師
日本CFO協会主任研究委員

 アナログ放送がデジタル放送に変わったように、私たちの身の回りの情報がどんどんデジタル化されていることは誰もが感じているところである。ただ、デジタル化の波が自社の業務にどのような影響があるかについては、漠然としている企業が多いのではないか。一方で、フェイスブック社がコンテンツを作ることなく世界最大のメディア企業になり、Google社といったデジタルビジネス先進企業が自動車産業における競争相手になるかもしれない時代が来ている。高い技術力のある企業でも、デジタル化の波で淘汰されるリスクのある時代では早い気付きと備えが必要である。デジタル化はリスクでもあり、チャンスでもある。今後4回にわたり、先進企業がITテクノロジーとデジタルデータをどのように自社のビジネスに活かしているか、活用成熟度別に取組事例をご紹介していきたい(図1)。今回はデジタルデータ活用の第一歩、「意思決定の高度化」についてである。

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四位一体での意思決定の高度化

 2000年代後半より大型M&Aにより事業構造を大きく変えているA社では、組織・ルール・プロセス・ITテクノロジーを四位一体としたグループ全体のファイナンストランスフォーメーションに取り組んでいる。変革の柱は組織のグローバル化とSSC(Shared Services Center)化による事業支援機能の強化。各国のファイナンス組織には分析・コントローリングなど事業推進機能のみを残し、それ以外の人員をグローバル組織に集約してCoE(Core of Expertise)またはSSCエキスパートとして本社やSSC等に再配置している。また、顧客軸での事業管理を強化するため、COO直下にデータマネジメント専門組織を立ち上げて、グループ横断で主要なマスターのルール整備・定着化プログラムを事業部門、SSCと連携して推進中である。同社CFO組織がグループ標準に基づいた均質性の高いデータとルーティング業務から解放されたリソースを活用して、事業部門に洞察を与えるビジネス・パートナーへ進化する起爆剤となっているのが最新のITテクノロジーだ。

 「従来24日程度かかっていた決算作業の期間は約半分になり、期中の決算シミュレーションにより事業別着地点を正確に予測できるようになりました」と同社CoEは語る。過去実績のみならず、事業・国・業界別の売上・利益予測や将来キャッシュフローの予測、事業推進上のリスクが可視化される仕組みが整備されることにより、目標との乖離をどのように埋めるかの議論をより早いタイミングでできるようになった。

2016年4月15日

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