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年間1億トンの生産を維持してきた日本の鉄鋼業界

 第二次世界大戦後の復興期、先進国を中心に世界の鉄鋼需要は成長してきた。1973年オイルショックからの30年間は、停滞期を迎える。その後の15年は、中国経済の成長によって急激な需要拡大で盛り上がった。そして今、中国が低成長、中成長に変わる中で、鉄鋼業は再び低成長時代に入るとわれわれは認識している。

 鉄は基本的にインフラ投資に用いられる。新興国が鉄鋼事業を国営で立ち上げるのも、インフラ投資に鉄が求められるからだ。これが一巡するとその国の粗鋼生産が減少する。それが日本以外の国で見られる状況である。

 先進国の粗鋼生産はオイルショックを境にアメリカで3割、欧州でも3割近く減少し、世界に冠たる鉄鋼会社がここを境に衰退の一途をたどる。その中で一人日本だけが、年間1億トンの生産を維持してきた。何がそれを可能にしたのであろうか。

持続的成長を可能とした四つの強み

 粗鋼生産1億トンを維持することを可能にしたファクターは四つある。

 一つは、「臨海大型製鉄所モデル」の展開である。日本には鉄鉱石も石炭もない。安く資源を運んできて、安く加工する必要がある。臨海大型製鉄所モデルは、自国資源を持たない弱みを強みに変える日本発の革新的なモデルである。

 二つ目に、その結果として「高い生産性とコスト競争力」を追求し続けてきたこと。

 三つ目は、従来の長さ・重さ・重量で規定される規格品から「機能品(高級鋼)へのシフト」である。日本の内需鉄鋼需要の半分はインフラ需要であったが、今では7割程度を自動車、造船、家電向けの高級鋼にシフトしてきた。日本の産業を支えてきた製造業と一緒に、さびにくくコーティングした鉄や強度が強くて加工性も高い鉄、磁気性の高い鉄といった「機能品」を開発して、シフトしてきたのである。

 四つ目として、「成長するアジア市場」が存在したことが日本の鉄鋼業を後押しした。環境に恵まれたということだ。ことにASEAN諸国には高炉メーカーが二つしかない。ASEAN諸国の成長とともに、高級鋼を提供しアジア市場を開拓してきた。

 四つの強みについて少し詳細に見てみる。

「臨海大型製鉄所モデル」の展開

 資源を安く運んでくるために、近隣の太平洋圏から原料を購入できる仕組みを作った。オーストラリアを中心とした太平洋圏の鉄鋼原料の山を、現地資本と協力して開発していった。具体的には、長期引取り契約を現地の資本に与え、これを保証として現地資本が山を拓くという仕組みである。

 そうして得た材料は、大型船で各地の港に運ばれる。鉄鉱石はいまや40万トン級のバルカーで運ばれてくる。この規模の船が横付けできる製鉄所の港はアジアには二か所しかない。日本列島は港が深いという特徴があり、当社の大分製鉄所は古くから深い港を持っていた。豪州に山を拓き、巨大バルカーで原料を運んできて、加工したものの一部を海外に輸送する。この革新的なモデルを、現在、韓国および中国の一部が追いかけてきている状況にある。

2016年3月1日

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