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M&Aで地域的拡大を目指す

 日本企業のM&Aが活発化している。2015年前半時点ですでに2014年と同規模のトランザクションが起きており、通年では過去最高レベルのM&A規模になることは確実だと言われている。

 2015年5月に実施した「KPMG M&Aサーベイ」によると、M&Aの目的は国内・海外ともに「同業企業買収による、コア事業の強化、拡大」が圧倒的に高くなっている。M&Aで最も期待したシナジーについては、「新規市場、顧客の獲得」が高く、特に海外案件では5割を超えている。リーマンショック以降、成長性を求めて海外市場に積極的に打って出ている日本企業の姿勢が、M&Aにも顕著にあらわれている。

 海外拡大を重視する傾向はCEOの意識調査にもあらわれている。「KPMGグローバルCEO調査」(2015年4~5月実施)で「今後3年間の戦略的優先課題」を聞いたところ、「地域的拡大」をあげたCEOは、全世界では29%(3位)であったが、日本は34%(2位)となっている。「新しい市場成長の機会が最も大きいと考える地域はどこですか?」という問いに対して、全体では米国64%、中国46%、西欧43%、中欧40%とヨーロッパが続くのに対して、日本では、米国65%、中国60%、西欧32%に続いて、シンガポール23%、オーストラリア21%とアジアが重視されているという傾向にある。

M&Aのジレンマ

 一方でM&Aはリスクを伴う。日本CFO協会の「海外M&AにおけるPMIに係る課題抽出のためのアンケート調査」によると、問題点はシナジーと対象企業の業績に集約される。その要因として、「ガバナンス」の問題があるのではないかと想像される。例えば、「業績悪化の原因把握の困難さ」はコントロールできていないことのあらわれであり、「対処能力の不足」も問題発生後にすぐに動けないということであろう。

 M&Aはマイナスから始まると言われる。単に対象会社の実力を引き出すだけでは、プレミアム分を補えず、投資回収できない。M&Aとして成立させるためには、シナジーと対象会社の業績向上が必要であり、そのためにはガバナンスが重要になってくる。統合することによって既存ビジネスのセットアップを変更しなければならず、そのためには統合の成果をマネージしていかなければならないからだ。

 M&Aは企業価値向上を目的とする。企業価値は、顧客関係、技術、ノウハウ、組織化され統率の取れた従業員、企業文化等によって構成される。これらを支えるのは、経営モデルと経営人材であり、最後は「人」に行きつく。ガバナンスをあまりに強めすぎると、不満や反発、利害対立を招く。カルチャーギャップやモチベーションの低下といったマイナス要因の発生にもつながるので、慎重な対応が求められる。

 プレミアムを払うためにはシナジーが必要であるが、シナジーを実現するためのガバナンスの利かせ方が極めて微妙な問題になってくる。「ガバナンス」「シナジー/対象会社業績」「プレミアム」の三つの整合的なバランスをとりながら、M&Aの実行・管理のプロセスを進めていくことが非常に重要となる。現実には、特に「買収後のガバナンスの仕組み」について、案件の早い段階から検討が尽くされているケースは少ない。

2016年2月15日

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