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201409_credit_risk_title

棚卸資産、償却資産、土地の見方

末松 義章
千葉商科大学大学院
客員教授 博士

棚卸資産の見方

─棚卸資産の回転が速ければ売上好調、遅い場合は在庫の含み損の可能性

棚卸資産回転期間とは

 棚卸資産がどれだけ回転しているかを見るのが棚卸資産回転期間である。これは、在庫の量の大きさを月数で表示したものである。

棚卸資産回転期間=棚卸資産÷平均売上原価
(注)平均売上原価=売上原価÷12カ月

 棚卸資産の回転期間が短い場合は、それだけ売上が伸びていることになるが、長い場合には注意が必要だ。

 この回転期間には、業種によってかなりの差がある。正常な状態では、メーカーで1.5月~2.0月、卸売業では1月以内が一般的である。これが長期であったり前期に比べて長期化している場合には、次のような原因が考えられる。

 ①架空在庫(粉飾)の存在
 ②過剰在庫の存在
 ③デッド・ストックの存在

 架空在庫やデッドストックがあれば、在庫に含み損があることになる。さらに、過剰在庫の場合には、資産負担がその分だけ過大となっており、いずれにせよ、その大きさを調査する必要がある。

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償却資産の見方

─収益力のある企業は減価償却期間を短く、ない企業は長くする傾向

減価償却期間の目安

 減価償却期間は、資産がどういうものかによって異なる。

 機械装置の償却期間は、おおむね5~15年間、工具・器具・備品が2~5年間、船舶は9~15年間、建物は構造によってかなり異なるが、長いもので65年、木造住宅で24年と定められている。なお、償却期間は、税法で定められた期間を使用するのが一般的である。

 収益力のある企業は、資金の回収を早くするために、減価償却期間を可能な限り短くする傾向にある。逆に、本来の期間よりも減価償却期間を長くしている企業は、あまり収益力がないと考えることができる。

減価償却実施額の見方

 損益計算書のなかの製造原価や販・管費等の経費明細上に、減価償却実施額が記載される。これと償却資産総額の割合(償却資産総額÷減価償却実施額)を見ることで、実施額が何年分であるか、また、実施額に妥当性があるかをおおまかではあるが、つかむことができる。実施額の多寡により、多ければ収益力があり、少なければ収益力に疑問があると判断できる。

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 もし、減価償却の実施がなかったり、計上額が不足している場合には、償却資産のなかに含み損があるわけで、この金額を把握しておくことが必要になる。

 下記に示した企業では、2011年に減価償却実施額を少なくすることによって、決算上の損失をカバーしようとしたことがわかる。

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土地の見方

─簿価と時価の差による含み益・含み損と、担保の設定状況を調査する

土地は減価償却されない

 営業の用に供している土地には、事務所用敷地、工場用敷地などがあり、これらは有形固定資産となる。しかし、同じ土地であっても、不動産会社が販売するために保有している土地は、棚卸資産として流動資産ということになる。

 固定資産である土地は、取得価格を簿価として記帳する。土地が他の有形固定資産と異なるところは、使用によって減価しないことである。したがって、土地については減価償却は行われない。

含み益・含み損

 土地は取得した価格が基準となるので、たとえば30年前に1億円で購入した土地は、貸借対照表には原則として1億円と表示される。

 もし、この土地の現在の価格が6億円になっているとすると、この会社には、貸借対照表には表れてこない時価と簿価の差、つまり5億円分が資産として隠れていることになる。この5億円に当たる隠れた資産を含み益と呼ぶ。

 また、反対に、取得価格よりも時価が下がっていれば、その差は含み損ということになる。

 このように、土地を所有していれば、地価の変動によって含み益・含み損が形成されることになるので、与信にあたっては、所有する不動産の公示価格と時価を調べて、含み益・含み損を把握する必要がある。

 一般的に、含み益が大きければ信用を与えてもいいが、現在のように地価が下がっているときなど、含み損の可能性がある場合は、その会社の資金繰り状況を調べてみる必要がある。

担保設定状況の確認

 銀行は、融資をする際に不動産担保を取得するケースが多く、登記簿を閲覧することによって、銀行の融資状況がわかる。特に、設備投資あるいは売上げが伸びて運転資金を必要としているわけでもないのに、新たに銀行が担保を設定している場合には、資金繰りが多忙になっているのではないか、と疑ってみるべきである。

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2014年11月14日

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