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 投資家である私は、本来、企業戦略について何かを語るような立場にはない。本日は外から見て、「こうすればいいのではないか」という話ができればと思っている。

 一般的にモノづくりの企業で、経理・財務部門の方々は自分たちは兵站部隊であり、主役はモノづくりをしている人たちで、業績をつくるのは営業と考えがちである。一般的にも経理・財務部門は、どちらかと言うと後ろにいて材料を提供する役柄だと捉えられている。それはそれで素晴らしい役割ではあるが、私は11年間投資家として、CFOの方々に会い、よい企業を見てきた中で断言できることがある。それは、「CFOは積極的に価値を創出できる」ということだ。このことを私は声を大にして申し上げたい。

 確かに帷幕の中にはいるが、「謀を帷幕の中に運らし勝ちを千里の外に決す」ることができるのは、CFOだけではないかと思っている。そうした結論に向けて、話を始めたい。

売らなくてよい会社しか買わない

 農林中金バリューインベストメンツ(NVIC)は、「売らなくてよい会社しか買わない」株式投資を標榜している。「売らなくてよい会社」を買うとはどういうことか。

 例えば、ウォーレン・バフェット氏が投資しているコカ・コーラという会社がある。世界人口は2000年前半(55億人)から2018年(70億人)の間、約3割(15億人)増加している。中産階級は人口増のスピードよりも、早いスピードで増えていく。中産階級が増えると、必ず炭酸飲料を消費する人が増える。炭酸飲料を飲もうとしたとき、市場はコカ・コーラとペプシの2社で寡占されている。日本は例外的に複数のメーカーがひしめき合っているが、世界中のほとんどの国や地域では中産階級が飲料品市場に現れたとき、そこにはコカ・コーラとペプシしかない。そうした状況に持ち込んだからこそ、コカ・コーラは常に営業利益率が10%を超えている。これは構造的な話で、こうなるともはやコカ・コーラを追い抜こうとする会社は出てこない。

 このようなビジネスを見つけてしまえば、株式を売り買いする必要はない。実際、過去30年のコカ・コーラのチャートを見てみると、売り買いするタイミングは見つからない。リーマンショックのときでさえそうだ。ウォーレン・バフェット氏が個人資産世界第3位になった最大の理由は、そういう会社を見つけたことにある。

 日本では株式投資というと頻繁に株を売り買いすると思われがちだが、株式を持つということはオーナーになるということだ。企業価値のいくばくかを持つことが株式投資であるという考え方が世界には普通にある。オーナーになれば、その会社の成長を楽しむだけである。「人口が増え、消費者はそれ以上に増え、そのとき消費者が必要とするモノやサービスを提供できる会社は他にない」というふうに、成長が論理的に理解できればいいわけだ。

 もう一つ、ディズニーという会社を考えてみよう。ディズニー以上にあのエンターテイメントをうまく提供できる会社は見当たらない。ミッキーマウスは何十年も前からミッキーマウスであり続け、ミッキーマウスをつくり出すためにキャペックスもR&Dも必要ない。だからディズニーは儲かり続ける。

 このように産業構造上、当然に儲ける仕組みを持っている強い会社を見つけて投資するのが、本来の株式投資であろうと私は思う。そうした会社を見つけてしまえば、売る必要はない。それが我々の「売らない投資」である。

 2006年の秋、私は農林中金の中で、この「売らない投資」を「日本の会社でできるのではないか」と提案した。資金とチームを預かり、社内ベンチャー(農林中央金庫株式投資部アルファ株式班)として2007年2月に立ち上げたのが、今に続く「長期厳選投資」である。

2018年10月15日

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