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Executive

これからのCFO、経理・財務部門に求められる姿
第7回
「ファイナンスと経営管理」

昆 政彦

スリーエム ジャパン株式会社
代表取締役 副社長執行役員

ROE・ROIC論争にどう対峙すべきか

 日本ビジネス界におけるファイナンスや会計リテラシーの低さが強く指摘されるようになってきている。その根底には、株式市場における日本企業への評価が著しく低く、その原因として企業における経営目的や経営目標の設定に「資本コスト」概念が不足していることが挙げられている。筆者は米国系企業に長く身を置いたこともあり、米国系企業と比較した場合にファイナンスや会計リテラシーの不足に対しては疑いの余地はないし、日系企業の経営者と話しても資本コストを十分意識しているとは思えない状況に多く遭遇する。しかし、その対応策として打ち出されている方向性、特にマスメディアでの捉え方には大きな疑問が残る。筆者が特に問題視しているのは、企業における役員、部長、担当者すべてにおいて資本コストを理解するリテラシーを求めている点である。資本資産価値モデル(CAPM理論)やランダム・ウォーク理論をすべての従業員が理解する必要性は本当にあるのかとの疑念はぬぐえない。問題の根底は株式市場における評価が基点になっているので、金融従事者の問題意識がそのまま全体的な問題意識として伝播してしまったことにある。ファイナンス理論そのものや、その運用方法を熟知せずに展開を促進しようとしたことが、全方向への包囲網的な発想につながっていると思われる。そして、それに対する反発、特に企業経営者からのROEへの反発が生まれる原因ともなっている。経営者、特に社長の理解なくして資本コスト経営を正しい方向へ導くことはできないだろう。

2018年8月20日

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